【 07年07月01日 】嵐の海で
今回は海の話。
「こんな状況で、立てませんよ!!!」
それは少し前の話し。釣りのプロで、私より一つ年下の古くからの友人がいる。この友人は釣り具メーカーの『シマノ』でインストラクターをしていてテレビ、雑誌で有名な人物である。
東京湾でモーターボートで釣りのガイドもしている。『シーバス』と言う魚をルアーフィッシングで釣るわけだが、彼は『全日本シーバスフィッシングトーナメント』で優勝しており、日本でシーバスを釣らせたら彼の右に出るものはいないと言われている人物である。
そんな彼に私はお金を貸している(100万円也)と言うこともあり、その返済を兼ねて、ちょくちょく彼の載るモーターボートで釣りをしに行くのだった。
このシーバスと言う魚は夜釣りに向いている。いつも出航は夜中の2時ごろ。真夜中の海に小さいモーターボートで海に出る。いつも朝方まで釣りをして30cm〜80cmのシーバスを10匹〜30匹、キャッチする。
毎週のように仕事が終われば羽田まで車を飛ばし、徹夜で釣りをするようになった。
ツーウェイの社員も連れて行くことが多い。
そんなある日、菊池店長と石川店長を連れていつものように羽田に向かった。
ところが、その日は台風が日本に上陸していた。雨風は強く、とても船を出せる状況ではなかった。
AXE「とりあえず行くべ。」
ということでラスト後に羽田に向かい、船付き場で友人に会う。
友人「小野さん、今日は無理ですよ。こんな日に海に出たら死にますよ。」
AXE「マジで〜。ちょっとぐらいなら平気だろ。」
友人「いくらなんでも無理ですって!」
AXE「そっか〜残念だなぁ。せっかく来たのに…。残念無念だなぁ〜。釣りしたいなぁ〜。」
友人「…。わかりましたよ…。小野さんは言いだすと止まらない人ですからね。」
と言うと、店長2人から離れた所で手招きをする。彼に着いて行くと、
友人「小野さん、万が一のためにこの紙に一筆書いてください。もし船が転覆して死んでも責任は取れませんから…」
AXE「わかった。他の2人はいいの?」
友人「小野さんが代表者でいいです。」
なんと、もし3人が死んだら責任は全部私がとるということで船を出すことになった。
いざ、船に乗り込む。船と言っても全長4mぐらいのフラットなボートである。出発してからやはり波がハンパないことに気が付く。船の底を『ドーン、ドーン』と波が打ちつける。
友人「長年この商売してますし、世界中で釣りしましたけど、こんな波の高い日の夜に海に出たことないですよ。普通の客なら絶対断ってますよ…。」
ようやく目的地に到着。船が停まると更に波が高いことを思い知る。波のせいで船が大きく2m近くも上下するし、左右の揺れも大きい。
友人「さぁ、釣り始めてください!」
ということで私は釣り竿を片手に船の先端に立った。船の先端は一番ゆれが大きい場所。キャスティングするにも骨が折れる。
AXE「よっしゃ、釣ったるで〜!ヒュ〜。」
とルアーを投げ始めた。
すぐに当たりがあり、シーバスがヒット!!!
AXE「こんな天候でも釣れるぜっ!おまえ達はどうだ?…」
と店長2人を見ると…
すわってる。座ってるよおい!
ボートの真ん中で腰が抜けたように座り込んでいる。
AXE「何してんだよ!!早く釣れよ!!」
店長2人「無理ですよ。立てませんよ。海に落ちますよ!!」
AXE「ひざだよ膝。膝の間接をクッションにしてバランスとれば大丈夫だよ!海に落ちても泳げばいいのさ!」
恐る恐る立ち上がり、なんとか竿を振り始める2人。
その頃、私は波にも慣れてきて、ルアーを投げまくる。他に釣り船がいないせいか、釣れる釣れる!!
少し経つと2人の店長は、早くもギブアップして座り込んでいる。そんな状況でも私は空気を読まずに釣り続ける。
AXE「うっひょ〜良く釣れるわ〜!!」
店長2人は友人と話している。
友人「この悪条件で立って釣りできるのは世界でも小野さんぐらいだよ(笑)」
店長2人「ありえないよ、あの人は…」
んなこたぁないでしょう。世界は広いですよ。
私が満足したのを見計らって友人が
友人「もう帰りましょう!」
ということで波の高い海を越えて港に戻る。
後から考えると本当に危険な釣りであった。店長2人が釣りにならないのは当たり前のことだ。友人もライセンスをはく奪されるかもしれないのに船を出してくれたことに感謝である。
ということで今回は海の話をしてみました。『小野さんのイメージ投票』で『実は海が嫌い(泳げない)』とありましたが、そんなことはないですよぉ。
フィッシャーマンの私が海が嫌いなわけがないでしょ。人並みに泳げますし、船酔いはしたことないし、他にも山と同じように無茶した経験も多いですから。アウトドアで弱点は無いですよ。陸・空・海、何でも来いです。
次は宇宙でも目指すかな…。