【 07年09月09日 】AXE死亡説 後編
慣れないマニュアル車で名古屋方面へ高速道路を飛ばす。
途中の浜名湖のサービスエリアでウナギを食し、意気揚揚と目的地までドライブ気分で運転するが、さすがに長い道のりで気疲れしてくる。
そうこうしている間に奈良県に突入し、まずは目的の湖とは別の湖でボートとエンジンのテストを兼ねて釣りをする。この湖は超有名な湖で釣りのメッカであり、それなりに良い結果を残し釣りを終える。
いよいよ目的地の山に入る。一応、道はあるのだが、林道でまったく舗装されていない。デコボコ道を恐る恐る進んでいくが、この道が、はたして合っているかの確証はない。車は普通のワンボックスタイプでオフロードに適しているとは言えない。それでも進んで行くと土砂崩れで道が閉ざされている。
「万事休すか…。」
いいや。あきらめない。何としてでもこの道を突破する!!
車を降り、スコップで土砂をどける作業に小一時間費やすことになる。
運転手を残し、5人で車を後ろから押す!!!
何とか前進に成功!!女子の不安な顔をよそに、その後も道と呼べないような道らしきものを進み、幾度か車をスタックさせながら山を登ると…。
見えた!!湖だ!!間違えない、これだ!!
急いで湖に降りようと思うが降りる場所がまったく無い。とりあえずテントを張る場所を探すが、開けた平らな土地がない。噂通り、前人未到と言っても過言ではない場所だった。
その頃、相模原店の近くにある、行きつけの釣り具屋を経営するKさんがツーウェイに飛び込んでくる。
「大変だよ、小野君、死んじゃったよ…。」
相模原店のアルバイト一同が泣き崩れる…。
テレビのニュースで
『神奈川県の男女6人が奈良県の山中で車ごと転落し、全員死亡。』
というニュースが流れたのだ。
話を戻すと、私は湖から5km離れた場所に川を発見し、そこにテントを張り男一人と女3人を残し、2人がローテーションで釣りをすることに。
ボートを強引に降ろし、釣りをしてみる。
「なんじゃこりゃ!!!」
もう、あり得ないぐらい警戒心の無い魚がいて、アホみたいにルアーに食いついてくるんですよ。一つのルアーを10匹以上の魚が奪いあうしまつ。もう、パラダイスとしか言いようがない。夜中まで釣りをし、午前2時頃、テントに戻る。そして食事をし、午前4時にはまた湖に向かう。これの繰り返し。
ローテーションで入れ替わるはずが、他の2名の男はギブアップしたため、私がフル出場し、私ともう一人で連日、釣りをする。
3日目になると、さすがに辛くなるが、リポビタンDを一人で1日、1ケース飲む。説明には1日1本と書いてあるが、そんなの関係ねぇ。もう鼻血が出るか、リポビタンDのCMのオファーが来るかって勢いで飲んでやりました。
そして寝ないで釣りを続ける。自分で今考えても、もう頭おかしいですよ…。
4日目には食糧が底をつき、釣ったブラックバスを食べる…。まさに自給自足。
そして帰ることになったが、運転手は2人しかいない。当然、徹夜続きの私も運転…。そりゃ〜死にますよ、実際。帰りも15時間の運転だし、危険な山道を通る。さらにCMのオファーが来るのを恐れながらリポビタンの力を借りてハンドルをにぎる。
そして……
限界を越えた精神力で、奇跡的に無事故で相模原店に到着。
AXE「ただいま〜!」
「えっ!!!!」
「小野さん…生きてる!!!!!!」
AXE「えっ!?生きてるけど???」
「…よかったーーーーー!」
そこにいた全員が泣いている…。声を出して泣いている…。
聞くところによると、死亡説が流れてから、バイトは誰も仕事中に口を開くこともなく、涙ぐんで仕事をしていたらしい…。
確かに死んでもおかしくない冒険であった。
だが、あのニュースは、まったく別の人の話だったのだ。
俺のために泣いてくれる人達がいるとは……。
って言うか、俺はそれぐらいじゃ死なねーーーーんだよ!!
END