2007年8月8日(水)

今回の我々に科せられたテーマは「圧勝」である。




ご存知の方も多いと思われるが、前回の登山は「辛勝」であった。
登山をなめていた私(川筋)、菊池にとっては前回のそれは非常に辛いものであり、正直
「ダ マ サ レ タ」
感の強い、いわば登山被害者であった。

今回は違う。何せ「圧勝」である。
では何故今回は「圧勝」なのか。

1.山自体の難易度が前回より低い。つーか山自体が前回より低い。
2.道具や身につけている靴などが前回より金がかかってる。「布の服」から「みかわしの服」ぐらい違う。
3.二人とも前回よりレベルアップしている(と思い込んでいる)。
4.ヤマビルファイターを手に入れた。


ここまで楽勝ムード漂う山登りな訳だ。「もはやスキップで登れるっしょ?」だ。


午前10時相模原店集合。例の如く菊池が20分ほど遅れて登場。今回もマクドナルドに寄ってからの登場か?もはや空気が読めないどころの騒ぎではない。そんな菊池師匠の車に荷物を詰め込み、いざ出発。


車中では、今回の圧勝登山の作戦を立てていた。前回の反省を踏まえ、忘れ物など無いかチェック。自分達の余念の無さ、完璧さに酔う。そして車にも軽く酔う。

車に揺られることおよそ40分。目的地である高畑山の登山口に到着した。各々荷物を背負い、登り始める準備をした。

ここで登場したのが、今回の秘密兵器。その名も「ヤマビルファイター」である。ヤマビルとは風貌はミミズのようであるが、人間の血液を吸い、しかも痛みを感じないのでいつまででも吸われてしまう。吸われた人間は24時間以内にゾンビになるという恐ろしい生物なのだ。Urrryyyyy―!

説明しよう。「ヤマビルファイター」とは。
名前からすると、我々の隊列の先頭に立ち、次々と向かってくるヤマビルをことごとく蹴散らす、「ここは危ないからさがって!」的な要素を想像しがちだが、当然のことながらそういった事は一切ない。ただ靴や衣服にスプレーしておくと、あら不思議。ヤマビルが近づけなくなる、そんな魔法のアイテムなのである。


我々はもう「これでもか、どんだけ〜」という位「ヤマビルファイター」を靴に吹きかけ、いざ登山口へ。


↓ここが入り口。


俺、菊池、小野さんの隊列で登り始める。








10分後―――。












「―――き つ い」

前回の登山から約二ヶ月。全く前回と変わってないのだ。「あれ?おかしくね?キツクね?つーか圧勝って何?」急な勾配と階段が否応なしに続く。我々は青ざめ始めた。
「軽く休憩しましょう」と休憩の申し出(弱音)を一番最初に出したのは、列の先頭である私であった。三人は一息つく。そこで恒例のヤマビルチェック。ヤマビルチェックとは、靴や、衣服にヤマビルが付いてないかどうか調べる大変神聖な行為である。すると。



余 裕 で 付 い て る。


三人はファイターの不甲斐なさに愕然とし、恐怖を覚えた。全く頼りにならないファイターだ。お前はボブ・○ップか。そんな弱虫ファイターのお陰で第一の被害者が出た。小野さんが足をやられたのである。幸いにも傷は浅かったが、あっさりヤマビルファイターの包囲網を破り、すねの辺りを噛み付かれダラダラと血を流している。ヤマビル恐るべし。「やっぱり服にもヤマビルファイターをしっかりかけてないとダメなんだなぁ。菊池、ヤマビルファイター貸して」と小野さんが菊池に手を差し延べたのだが―――。




菊池、痛恨の「ヤマビルファイター、車に置き忘れ」。


もうびっくりである。がっかりである。我々はヤマビルファイターをあきらめ、溜息混じりに頂上への道を歩み始めるよりなかった。
最初の15分は面を喰らったが、ソコを越えると楽になり始めた。急な勾配は殆どなくなり、かなりハイキングに近い余裕の道のり。我々もいつしか不安は消え去っていった。そうだ、そうなんだ。なんてったって今回は圧勝なんだ。もう恐れないで、みんなのために。愛と勇気だけが友達さ。

途中オオトカゲとの格闘や、大木が道を遮っていたり、「恐怖、スズメバチの逆襲」など様々なアクシデントに見舞われた。


 ↑トカゲ


 ↑大木


これはナナフシです。


登山を始めておよそ1時間10分、最初の目的地である「御殿森ノ頭」という祠(ホコラ)についた。祠といっても、洞窟になっている訳でもなく、無論宝箱も存在しない。紋章をくれる謎のジジイもいないし、勇者の証を見せる必要も全くもってない。ただ大木が立ち、その根元に石で出来た「なんか」があるだけである。

我々はそこで今回の登山のお祈り(?)をした。




 ↑「なんか」

さて、ここまでくればあとわずか、頂上まで30分くらいであろう。山道の分岐点を過ぎ、最後の難関の階段を越え、ようやく頂上に辿り着く。

[最後の難関を登る菊池]


そしてめでたく山頂。
三人で記念撮影。


頂上からの眺め。



荷物を降ろし、我々は食事の準備に取り掛かった。今回の食事は、前回より恒例となったカツカレー(山屋)である。ほどなく米が炊け、炊き立てのご飯にカレー(山屋)とカツをのせると、これがまた極上に美味い。疲れた我々の胃袋にガッツガツ入っていく。西洋の諺に「空腹は最上のソース」という言葉がある。が、それは間違いだと気づくのにさして時間は掛からない。我々から言わせれば「山の頂上で食べるカツカレーは、マジ超美味ぇ」である。

食事を終え、汗だくになった服を乾かし(俺の)、いよいよ下山の時。

「高畑山ありがとう」、「またここにきっと来るぜ」、「いや、たぶんもう来ないな」、「あれ、かぼちゃの葉じゃね?」
三人の思惑をよそに、我々は下山への足取りを進めた。
帰りは登りに比べ、遥かに楽であった。かなりのハイペースで歩を進める。いや歩じゃないな。桂馬くらいの勢いである。もう、二マス前に進んで、横に一マス動くぐらいだ。つーか桂馬くらいの勢いってなんだよ?




 「そよ風ベンチ」

途中「そよ風ベンチ」で一休みするも、その後は一気に下山していく。予想よりもかなり早いペースだ。勿論恒例のヤマビルチェックは怠らない。まさに完璧。40分ほどして程なく登山口に到着した。

終わった。我々は安堵に包まれ、それぞれが無事に下山出来た喜びに沸いた。駐車場に向かい、荷物を車に乗せる。さて、帰りは温泉にでも浸かり登山の疲れを癒そうではないか。

三人は車に乗り込み、今回も無事に登山は終わった・・・・かに思えた。









な、ななんと小野さんの左肩でヤマビルが血を吸っているではないか!!!ヤマビルはかなり血を吸っていたらしく、ナメクジ大くらいの大きさまで膨れ上がっている!


川筋「ちょww、小野さんww!肩wwwヤマビルついてまうwwww――!!!!」

小野さん「マジデ――wwww!?」

と言ったかどうかは記憶にないが、慌ててヤマビルを蹴散らす。肩から血が吹き出て、車内は大混乱。今回の登山の凄惨さを物語っていた。いやーびっくりした。ヤマビル超コエェ。



その後我々は温泉と期待していたが、ガチで大衆浴場的な所に行き、疲れを癒して帰路についたのでした。